心の根っこの栽培日記

セラピールーム根っこのブログです。心理ネタを中心に、日々のあれこれを書いています。

大人になっても男性心理に大きな影響を与える、息子とお父さんの関係⑦最終回

エディプスコンプレックスについて、お話しています。
大人になっても男性心理に大きな影響を与える、息子とお父さんの関係①
大人になっても男性心理に大きな影響を与える、息子とお父さんの関係②
大人になっても男性心理に大きな影響を与える、息子とお父さんの関係③
大人になっても男性心理に大きな影響を与える、息子とお父さんの関係④
大人になっても男性心理に大きな影響を与える、息子とお父さんの関係⑤
大人になっても男性心理に大きな影響を与える、息子とお父さんの関係⑥

エディプスコンプレックスを卒業して『大人の男性へと成熟する』方法として、今回は3つ目をご紹介しています。

③父親を理解しようとしてみる

父親への怖れや嫌悪感といったものを抱えたままになってしまっているとき。
あるいは、心の中にぽっかりと父親の存在がなくなってしまっていて、大人の男性というものがわからないとき。
そんなとき、父親というものは、自分の心の中でモンスターのように大きな敵になっていたり、わけのわからない謎めいたものになりがちです。

そこで。
父親という人は、本当は、一体どんな人間だったのか。
どんな事情があって、父親は今の父親になったのか。
そんなことを思い巡らせてみてほしいのです。

たとえば、威圧的なお父さんは、どうして威圧的な態度しか取れないのか。
もしかして、そこにはお父さんなりの事情があるのかもしれません。
概して、威圧的な人というのは、自己防衛心が強いものですから、本当はお父さんという人間は、とても怖がりだったり、自分の周りは敵だらけと思っている人なのかもしれません。

そんなことを理解することが、なぜ必要なのか。

お父さんのためではありません。
お父さんを少しでも理解することで、お父さんはモンスターではなく、お父さんもまた一人の不器用な人間だったのだと、自分が理解することにつながるからです。
すると、自分とお父さんは対等な大人であるとわかってきますし、さらにはお父さんを許すという包容力を持つことにもつがなるかもしれません。
お父さんを許すということもまた、お父さんという影響力から自由になる大きな一歩です。

子どもは自分の事情しか考えられませんが、自分の事情も相手の事情も理解しようとするのが成熟した大人ですからね。

両親が離婚して、父親の記憶がほとんどないといった人も、実際は連絡の取れる距離にご健在であれば、ハードルは高いかもしれませんが、勇気を出して会いに行ってみてもいいかもしれません。
今連絡を取れる距離でないなら、お父さんを知っている人にお父さんのことを聞いてみたりするのも、ありです。
お父さんを同じ人間として知ってほしいのです。

以前、こんなカウンセリングケースがありました。
私のクライアントさんで、亡くなったお父さんのことをずっと怒りの気持ちで見ていた方がいました。
お父さんは厳格で、外にはいい顔をするのに、家族にはいつも不機嫌だったそうです。
でも、カウンセリングを続けていた時に、ある日突然、実家のお母さんから荷物が届いたそうなんです。
そして、届いた荷物の中に、亡くなったお父さんが、ひそかに机の中にずっと大切にしまっていた、クライアントさんが幼稚園の頃に描いた『お父さんの笑顔』の絵があったそうです。
この時、クライアントさんはお父さんが決して表現することがなかった、お父さんの人間らしさ、不器用さ、情の部分を理解したようでした。
そして、この頃ちょうど、お父さんに対する様々な気持ちについてカウンセリングが進んでいたのもあり、お父さんへの恨みや怒りからは卒業しよう、と決意されたそうです。
それからのクライアントさんは、驚くほどお話される内容が変わりました。
職場の同僚や仕事に対する不平不満が激減して、仕事に対する関わり方が前向きになっていかれたのでした。
(*このお話は、クライアントさんの許可をいただいて掲載しています。)

怖れとか嫌悪感ではなく、一人の大人の男として『父親』を見る。
これは、自分もまた大人の男になっていく上で、強い足場になっていくでしょう。

◆最後に

大人になっても男性心理に大きな影響を与える、息子とお父さんの関係。
結構長いシリーズものになりましたが、いかがでしたか。
このブログを読んだけど、なかなか克服できないんだとか、こういう気持ちを抱えているけどどうしたらいいんだなど、一人では難しい場合は、ぜひご相談くださいね。
ご感想なんかもお待ちしています。